Over the Kankan Bridge

「かんかん橋」の謎の一つにお菓子の箱のままだと不調法だから重箱に詰め直すという作法があって、あれは実際にそれが礼儀とされる地域なり時代があったのだろうか。それとも作品世界内のことなのか……

「橋」の作中では舞台が日本だとはひとことも言われていないので、あれは遠い昔、はるか彼方の銀河系の出来事だと思って読んでいる。明治から戦争も高度経済成長期もバブル経済もなくてものすごくゆるやかに発展した日本、みたいな。*1だから『愚者の皮 チガヤ編』も同じつもりで読んでいたら、終盤で舞台が「日本」だと明かされて心底たまげた。

*1:おとぎ話的だと思うのは時代感覚等が「どこにもない日本」みたいに思えるということで、あれに描かれる家庭問題とか地方の問題が絵空事だとは思わない。家庭のことは言うまでもなく、あの町にしても地域全体が北九州や尼崎の連続殺人事件みたいなことになってるわけで、あれに近いことはむしろよくあるのではないか。