勝利は仲間の数だけあり、勇気は嫁の数だけある

かんかん橋をひとことで表せば勇気と希望の物語ということになるのだけれど、この作品の何が好きと言ってあらゆる勇気に敬意が払われていることである。立ち向かう勇気、逃げる勇気、そして何もしない勇気。

全てが肯定されているのは友情のあり方についても一緒だろう。萌と鮎のようなバディ関係も描かれるが*1、私が救いを感じるのは萌と権藤木の関係である。決して交わらない二つの道が橋の上で一度だけ重なる。互いに命を預けて闘うには、そのたった一度の通い合いで十分なのだ。これが救済でなくて何であろうか。

*1:くじけそうになった萌が振り返るといつも鮎がいるのがとても良い。勇気はどこから来るかということについて千春が萌に語りかける場面があるが、早菜男よりは鮎のことを語っているように聞こえる(この時、千春はまだ鮎を知らない)。