いつか関西発祥なのを忘れてしまううどん屋

深夜のなか卯はかなり繁盛する店でもワンオペが多く、このまえ夕飯を食べた所では同じ客から何度も「おひやください」と言われていて気の毒だった。店員の兄ちゃんが気の毒なのはもちろんだが、実際わすれられてるのではないかと不安になる間の空き方だったので催促してる客もそうひどい人だとは思わなかった。

そこはホスト率の高いなか卯で、券売機で後ろに彼らが並ぶと香水か何かの匂いがする。カウンターの向かいからは、「あの人はグループのために働いてるってわけでもなくて……」「しばらく歌舞伎でキャッチするんだって」「やることは教えてくれるけど、そうする理由は教えてくれない人なんだよ」といった会話が聞こえて来た。