すべてを消化する覚悟

秋田に出張した折、帰りの新幹線までの30分ほどで駅前の居酒屋に飛び込み、太平山のもっきり1合と比内鶏天ぷらその他を急ぎ押し込んだことがある。酒どころに行くと酒を飲まずには帰れないという気分になるのだ。問題は私はそう酒に強いわけではない上その日は昼食抜きだったことで、空きっ腹に日本酒一合と油物は明らかにきつく、新幹線に乗ってしばらくすると激しい腹痛と吐き気に見舞われた。おそらく胃酸過多で胃壁が荒れまくっている。幸い最終列車で隣の席には誰もいないので、二人がけの椅子に斜めに体を横たえ、ここで吐いたらせっかくの酒と鶏がもったいないという一心で耐えていたところ、1時間ほどもすると嘘のように体調が回復し、何事もなかったかのように文庫本を読むなどして残りの時間を過ごした。

この歳になってもまだ酒で吐きそうになったりするのかということになるが、食べ物への意地汚さがあれば何とか吐き気は耐えられるものだなとおもった。ちなみに旅先で酒を飲むのが好きなのは、糸の切れた凧状態で誰にも気を遣わずに飲むのが嬉しいのだろうなと思う。だから地方の居酒屋で地酒を飲まずとも、東京や大阪のホテルの部屋で缶ビールを飲んでいれば十分幸せなのである。