ファミレスの数だけドリンクバーの種類がある

店員に憶えられて話しかけられるようになるとその店に行きづらくなるという話を聞いてどうしてそんなに知らない人と話すことを忌避するのかと言う人がいるが、わたしの場合は知らない人と話すのが嫌なのではなく知らない人が知ってる人になったから行きづらくなるのである。

 

私が苦手なのはコンビニエンスストアのようにマニュアル接客が完成された店で、なおかつ何となくこの店員さんは自分の顔を憶えているのではないかと思われる状況である。わたしは箸や袋を断るなど相手の作業のリズムを若干壊してしまう要求をするので、迷惑な客だと思われていたらいやだなと思うからだ。こっちとしてははっきりと「悪い」ことはしていないつもりだが、しかし店員としては毎回マニュアル外の注文をして来る客がいたら面倒くささを感じるのも自然な人情だろう。だとすればわざわざお互いに気まずい状況は作らないに限るというわけで、わたしの顔を憶えていそうな店員さんがいそうな時間帯はその店に行くのを避けたりする。

一方、個人経営の八百屋などではお天気の話などもそれなりに愛想良くするし楽しんでもいる。そこはそういう店だと思うからだし、客と店員が話していい場所なんだなとはっきりしていれば、自分の袋を使う時にも「いつもすみません」「いえいえこちらこそありがとう」とか会話のしようがある。要するに、本来はお互いを個別認識していない前提でやり取りする店で、その前提を崩しかねない何かがあると行きづらくなるということなのだとおもう。